建築の仕事を
女性が活躍できるフィールドへ
- 株式会社マブチ工業
- 静岡県浜松市北区三方原町

INTERVIEW
ビジョン・組織づくり

娘の仕事を見守る中で見えた
女性活躍の道筋
代表取締役 馬渕 正利(まぶち まさとし)さん
馬渕代表の経営には、どのようなバックグラウンドがありますか?
マブチは、長らくゼネコン各社様の仕事を請け負ってきた企業です。非常に厳しい基準やルールの下、建物の品質や安全を保つのはもちろん、知識も付けなければなりませんでした。「人には負けたくない」という気持ちで、必死に続けてきましたね。
最初は、溶接工の個人事業だったんです。その延長で創業をしたのが1977年のこと。社員が増えていくにつれ、「より良い仕事をしたい」という気持ちが湧くようになりました。そんな中、飛び込んできたのが浜岡原子力発電所の建設案件です。ただし、朝8時の朝礼に間に合うために5時半には浜松を出発しないといけません。敬遠する同業者が多い中、意を決して請けることにしました。それがその後のアクトシティやザザシティ、工場や病院の建設工事など大きな仕事につながりました。マブチはこれからも良いものをつくって、皆さんに喜んでいただける企業であれたらと思います。
2000年には、住宅事業をスタート。
「建築家とつくる家」「世界でひとつだけの家」などのブランド展開からは、馬渕さんのアンテナの高さを感じられます。
住宅事業はゼロからのスタートだったので、成功している企業や事例を聞いては勉強しに行きました。「お客様を大切にする会社づくり」がテーマのセミナーには、もう長年通っています。交通費を工面して、社員にも交代で行ってもらっていますよ。もちろん、良いセミナーばかりではなく、数百万円もするシステムを入れてしまい失敗したなと思ったこともあります。それでも、場数は知恵となりますからね。社内に返ってくるものが必ずあります。社員にも気になるセミナーや研修があれば、どんどん教えてくださいと伝えています。一級・二級の建築士をはじめとする各種資格の取得支援も行っています。
男性が多いイメージの建設業ですが、
マブチ工業ではどのように女性の活躍を推進しているのですか?
女性の活躍に目が向いたのは、2000年に立ち上げた「建築家とつくる家」をコンセプトにした住宅事業がきっかけですね。アメリカへ留学していた娘(※後出の星野裕香さん)を呼び戻して、事業に加わってもらったんです。それまでは、採用した女性社員と言えば“ウチのお母さん”、私の妻だけ。知識も経験もなかった娘が、住宅の仕事を一人前にこなすようになるのを見て、だんだんと女性の能力に気付いていきました。粘り強いし機転が利くんですよね。一度仕事を理解すると、相手の立場に立って工夫もしてくれます。住宅事業が大きくなるにつれ、事務や設計などで女性スタッフの採用を増やしていきました。
その後、娘は、3度の育休・産休を取得しながらマブチの仕事を続けてきました。「子育てをしながらでも住宅の仕事ができるのだな」という感覚を持てたことは大きいです。今も娘は育児と仕事を両立しており、マブチの良いモデルケースになっていると感じます。
住宅事業を通じて、たくさんの気付きが得られたのですね。
さまざまな工夫を考えるようになりました。たとえば、方角の良し悪しや家の気の流れを読む風水。泥棒が嫌う家の造りも、防犯の研修で学んでいます。会社の敷地内に災害対策施設を建てたのもその一環です。いざというときに誰でも利用できる電気、ガス、貯水タンクなどを完備しました。
ゼネコン各社様の仕事は、同業者との勝負。住宅の仕事は、自分との勝負だと思います。どれだけお客様のためを考えられるかが大切です。事務作業だと思って書くDMと、良い住宅を見に来てほしくて書くDMでは、伝わる想いがまったく異なります。そんなことを、住宅事業をやってみて初めて気付きました。セミナーや人との出会いを通じて考えが発展してきたんです。本当におもしろい仕事だと思いますね。
女性活躍推進のビジョンを教えてください。
適材適所に女性の力を活かすと、素晴らしい働きをしてくれますね。たとえば、2人のお子さんを持つ女性の営業アシスタントがいます。最初はDMや資料の送付を手伝ってもらいましたが、今では土地の案内までしてくれています。お客様の希望に合いそうな土地を探してきて、評価のコメントを添えて送ってくれるんです。あるいは、溶接工や現場監督を務めている女性社員もいますね。ゼネコン企業様の現場で活躍している女性社員もいます。いつもニコニコしていてヒマワリのような存在だと評判ですよ。
おそらく、仕事において大切なものは共通しているのでしょう。どこかの企業で仕事を経験した女性には、優秀な方が多いと思います。今いる独身の女性社員がいずれ結婚して退職することがあっても、マブチが好きだと戻って来てくれたら素晴らしいですね。復帰しやすい土壌をつくることで、安心して働ける企業にしていきたいと思います。
女性社員インタビュー

住宅の仕事も子育ても両立できる。
社内で初めてのロールモデル
管理部 統括 星野 裕香(ほしの ゆか)さん
アメリカから帰国してマブチ工業へ入社された星野さん。どのようにキャリアを積んできたのでしょうか?
アメリカで学んでいたのは貿易関係だったので、住宅の仕事はゼロからのスタート。ご縁の深かった岐阜県のある建築家さんに学ばせてもらいました。お客様との商談から打ち合わせ、完成まで。全部で16棟もの建築過程に同行させてもらい、営業として自立していきました。現在は、仕事を離れた母に代わり、管理部統括として経理を担当しています。給与計算や資金繰りなどが私の担当です。
産休や育休の環境整備は、私自身がきっかけとなって進むことになりました。社労士さんに制度の概要を教えてもらうところからのドタバタで、当時のメンバーには本当に助けてもらいました。もともと仕事が好きなので、育休は長いときで10ケ月間。保育園を探してすぐに仕事に戻りました。一度、どうしても出たいセミナーがあり、ホテルに泊まり込みで両親に子どもを預かってもらったことがありました。さすがに両親も子守りが大変だったようで、2日目にはみんなでディズニーランドに出かけていましたけれど(笑)。そんな経験もしながら、仕事と家庭の両立は何とかなるものだと父も思ったようです。マブチの成長とともに社員も増え、産休・育休の制度や慶弔事の対応を整備してきました。
女性活躍について、どのようにお考えですか?
やるべきことが必然的に与えられることの多い女性。限られた時間の中で、どれだけ効率的にものごとを終わらせられるかと考える力のある方が多いと思います。事務や経理といったバックオフィスから、企画に営業、アシスタント、設計や現場監督まで。マブチでは現在、多業種にわたってたくさんの女性に活躍してもらっています。
これからも、女性がより働きやすい環境を整備していきたいですね。マブチで働きたいとか、マブチで働けて良かったとか。そう思ってもらえる企業にしていくことが私の目標です。
2004年入社、アメリカ留学を経てマブチ工業へ入社。住宅事業部にて営業の中核を担う。現在は、管理部統括としてバックオフィスのマネジメントのほか、営業のサポートも行っている。宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、ファイナンシャルアドバイザー3級、プランニング技能士、セキュリティインストラクター。
取り組み
積極的に参加を後押し
セミナー・研修への参加支援
セミナーや研修への参加を積極的に支援しています。交通費がかかっても大丈夫。参加を検討したい研修や気になるセミナーがあればぜひ教えてください。

資格の取得も全社でサポート
建設や住宅の仕事にまつわるさまざまな資格。取得に向けてがんばる社員を支援しています。勉強時間の確保をサポートするほか、試験前日の休日取得を推奨しています。

産休・育休を取りやすく
就業規則の整備
業界やマブチに合った就業規則を整備しています。産休・育休が取りやすくなったほか、有給休暇の取得推進や勤務時間の短縮といった“働き方改革”にもつながっています。

社員の主体性を活かして
仕事をもっとクリエイティブに
たとえば、ご来社の予定やお客様の情報を全社で共有しています。お客様視点に立った接客を社員が自発的に考え、実施できるようになりました。マブチの方向性を理解しているメンバーがより花開くように、ブランディングの仕事にも力を入れています。

楽しく地域と交流を
セミナー主催やイベント出展
こだわりの家づくりのためのお役立ちセミナーや建築家との相談会を主催しています。地域の交流イベントにも出展するなど、みなさんとのつながりを楽しみながら事業を進めています。

COMPANY